【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。
「なんで俺は、灰野に胡桃の好きそうなものを素直に教えなかったとおもう?」

「いたずら?」

「全然違う」


ナギちゃんは、窓の外からすっとあたしに視線を移した。


「ねぇ胡桃」

「なに?」


なんで、そんな悲しそうな顔するの?


「どうしたのナギちゃん……?」

「俺の好きな人の特徴って、ちゃんと覚えてる?」

「うん」

「言って」


好きな人と、なにかあったのかな。


「今の高2か高3の同じ学校の人。可愛くて、鈍感で、ずっと一途に誰かを好きだったけど最近彼氏ができて……髪が長くて、あとは……あ、そうだ。あたしが喋ったことのない人」


「ちゃんと覚えててくれてありがと」


「うん!忘れないよ」


ナギちゃんがどれだけその人を好きか、あたしは知ってる。

その想いだって全部、ちゃんと覚えてるよ。


「その子の特徴もう少し付け足していい?」


「うん?」


「その人が好きだったのは、灰野」

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