【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。

朝から晩の灰野くん









高二の5月末にある行事。

2泊3日の勉強合宿というのは強制参加で、今日がその一日目だ。


毎日10時間の勉強を強いられるなんて、頭がパンクしそう。



―――悪魔の合宿。


そう呼ばれる理由が、合宿開始5時間目で理解できた。


……きつすぎる。



すぐ隣でベリーショートの茶髪をがしがしと書いて「もうだめぇ」と音を上げる彗に、同調の笑みで返す。


「疲れたよぅ……」


力尽きたように机に伏せる彗。


あ、だめだよ、彗!


「寝たら起きないんだから寝ないで!」


「だってもう無理だもん。逆にさぁ、なんで胡桃はそんなはかどってるの?意味不明ー」


「はかどってはないけど……」


「だって全然目さえてるじゃん」


ふわぁとあくびをする彗は目を閉じた。


「もう、彗……あ、寝ちゃった」


テーブルを挟んですぐそこに座るナギちゃんに目をやると「寝かしとけ」だって。適当だなぁ……。



班ごとに行動するこの合宿で、あたしは灰野くんと同じ班になった。


女子は彗とリホちゃんという子。男子はナギちゃんと灰野くんと山本君。

合計6人で一つのテーブルを囲んで勉強しているこの状況が、二泊三日分続くというわけで。


灰野くんが傍に……それどころか目の前にいる。


それがあたしの眠気とかだるさとかを吹き飛ばしちゃうんだよ。

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