【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。
保健室のベッドに寝転ぶと、あの時ベッドで言われた「ごめん」が蘇ってくる。


……馬鹿なことしなきゃよかった。

体の関係で心の距離が近まるなんて、きっと嘘。

心の距離が近くなかったら、できないことなんじゃないのかな。


だから、「まだ早い」って思った灰野くんは正しかった。


あたしたちの心の距離は、まだまだ全然遠いんだから。


あ、チャイムだ。

授業、始まった。

それから少し寝てしまっていて……。


枕元でブブッといったスマホの振動で目を覚ました。


…….ナギちゃんからだ。


《大丈夫?いま自習中。みんなで灰野大会議中》


灰野大会議??


ブブッ

あ、また来た


《結局俺が引っ掻き回してごめんなー。
灰野とちゃんと喋って。
今から灰野そっちにやるわー》


……こっちに?


しばらくすると、


「藍田さん……ここにいる?」


カーテンの向こうから灰野くんの声が聞こえて、飛び起きた。

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