【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。
ずっと花を好きでいればよかったんだ。
こんないい子とはもう一生出会えないって、わかってんのに。
俺はこの期に及んでちらりと藍田さんを振り返る。これは無意識の次元。
ナギと話す藍田さんは、笑っていた。
いつもみたいにね。
……ナギはなにがしたかったの?
お前が藍田さんのこと好きなんだってことくらいわかってんだよ。
ナギにとって俺なんてややこしいだけの存在じゃないの?
なんのメリットがあって、俺につっかかってくんの?
勝手に藍田さんと二人で、うまくやればいいじゃん。
俺を巻き込むなよ。
ナギと藍田さんのやりとりを見てしっかりイライラする。もやもや、むかつく。
どいつもこいつも。
いつの間にか足を止めてる俺自身も。めちゃくちゃに苛立つ。
教えてよ、藍田さん。
「ねぇ」
俺は藍田さんに声を飛ばした。
別に普通に言っただけなのに。
視線を上げる藍田さんは、びくっと肩を震わせる。
……俺って藍田さんにとってそんなに怖い存在なの?
「中学生の……あの時。俺とナギどっちが好きだった?」