【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。
あの頃、藍田さんは、なんでこんな俺に好きって言ったんだろう。
今日だって、なんでプリントの片隅に【灰野胡桃】なんて書いてたんだよ?
俺と向き合えば怯えるくせに。なんで?
なんで、なんで。なんで。
そればっかりだ。藍田さんのことなんか、考えたくないのに。
「伊吹。もう行こう」
花の声で我に返って、歩き始めた。
「伊吹は好きじゃないんだもんね?藍田さんのこと」
「……何回も言っただろ」
「そうだね」
……藍田さんなんかよりずっと花の方がいいやつだって、わかってんのに。
なんで藍田さん、消えてくれないの。