【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。
「いてっ」


何かにぶつかって弾き飛ばされたあたしは地面にどすんと尻もちをついた。


「あ……の、ごめんなさ、い」


謝った先にいたのは、灰野くん……!


「あ……」


あたしはぺたんと床に座ったまま、湯上りの灰野くんを見上げる。


うわ、うわ……
かっこいい……。


でも灰野くん、のぼせたの?


赤らんだ顔が色っぽくて、あたしまでつられちゃいそうだよ……。



「……っ、藍田さん!」


……っえ?なに?


灰野くんはあたしの腕を思いっきり引っ張った。


「きゃっ」


ぎゅっと力一杯握られた手に痛みが走って、片目を細める。


起こすには乱暴なやり方で立ち上がらせてもらったあたしは、目を丸くして彼を見上げた。


ど、どうしたんだろう……灰野くん?



「灰野ー、自販機あった?」


向こうの方から聞こえるのはナギちゃんの声かな。


そう、思った瞬間


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