【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。
俺のこと好きなの?
灰野伊吹SIDE*
◇
俺は今、笑いそうになるのを堪えている。
クラスメイトというか、幼馴染で保育園の頃からの腐れ縁の藍田胡桃さんの挙動不審な動きが、ちょっと面白かった。
藍田さんは、ばちんっと目が合ったかと思えば、首もげないそれ?って聞きたくなるような顔のそらし方をする。
高二で同じクラスになってからの彼女はいつもそうだ。
そういうのを、意識しないわけではない。けど……。
「もうみんな出したよね?提出しに行くよ?」
「いってらー」
俺は全員分のプリントを抱えて、職員室へ向かった。
窓から吹き込んだ風は、初夏の匂いをたっぷり廊下へ送り込んでくる。
風にめくれたプリントから覗く” 藍田胡桃 ”の文字が俺の目に飛び込んで、一秒を止めた。
はたはたと風に震える紙の端をつまんで、藍田さんの一枚を引っこ抜く。
一番上へと差し替えられた藍田さんのプリントを、午後の日差しが穏やかに照らしている。
その光が浮き上がらせた筆跡の影に「あ」と思わず声が出た。
◇
俺は今、笑いそうになるのを堪えている。
クラスメイトというか、幼馴染で保育園の頃からの腐れ縁の藍田胡桃さんの挙動不審な動きが、ちょっと面白かった。
藍田さんは、ばちんっと目が合ったかと思えば、首もげないそれ?って聞きたくなるような顔のそらし方をする。
高二で同じクラスになってからの彼女はいつもそうだ。
そういうのを、意識しないわけではない。けど……。
「もうみんな出したよね?提出しに行くよ?」
「いってらー」
俺は全員分のプリントを抱えて、職員室へ向かった。
窓から吹き込んだ風は、初夏の匂いをたっぷり廊下へ送り込んでくる。
風にめくれたプリントから覗く” 藍田胡桃 ”の文字が俺の目に飛び込んで、一秒を止めた。
はたはたと風に震える紙の端をつまんで、藍田さんの一枚を引っこ抜く。
一番上へと差し替えられた藍田さんのプリントを、午後の日差しが穏やかに照らしている。
その光が浮き上がらせた筆跡の影に「あ」と思わず声が出た。