【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。
「まず一つ目はー?」
ナギちゃんが握った手でつくったマイクを向ける。
「……声が可愛い」
「えー、声フェチー?」
彗が意外と言いたげに目を見開いて笑う。
あたしは藤堂さんの柔らかな声を思い出す。
たしかに可愛い。澄んでいて綺麗な声。
「二つ目はぁー!?」
「えー、っと」
灰野くんは畳みを見つめて、唇を動かす。
「……一生懸命な子?」
「へぇ、健気な子ねぇ」
と、リホちゃんはうんうんと頷く。
藤堂さんは秀才。絶対にそれだけの努力をしている。
一生懸命だ……。
部活もバイトもしてなくて勉強さえできないあたしにはそういう要素って、まるでない……。
はぁ、落ち込む。
「三つめはー?」