【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。
灰野くんと星の下
「じゃあペア決めよっかー」
グーチョキパー、どれを出せば、灰野くんとペアになれるんだろう。
灰野くんはやる気少な目。力のいらない、パー?
「胡桃ちゃん、灰野くんと確実にペアになるにはどうすればいいと思う?」
にや、リホちゃんは笑う。
「確実っていうと……」
無理じゃない?
んー、と考えるあたしの耳元で、リホちゃんはいたずらっぽく答える。
「正解は、立候補」
そんな度胸ない!
とは思ったけどあたしはくっつかない磁石をやめたい。
「おーいペア決めようぜ」
山本君があたしとリホちゃんを呼んでいる。
ええい、いくよ。いけ、あたし!
「灰野くん!」
その声は静かな廊下に反響した。
ドキンっと一気に心臓が鳴り始める。
だってみんなの視線が一気にあたしに注がれているんだもん。
もちろん……灰野くんのも。
「何?」
灰野くんの不思議そうな顔とちょっと迷惑そうな目が、あたしの緊張を高める。
いけ、あたし。