【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。
ナギちゃんは小学生の頃、すでに隣のクラスの丸山さんとキスをしたことがあるという噂だ。
つまり恋愛の頼れる先輩。
「彼女からキスしたいなんて言ったらやっぱり変なのかな」
「俺は引くわー」
「そうなんだ!危なかったね、胡桃!」
言葉に影響力を持つ人っていうのは、クラスに一人ふたりいるもので、ナギちゃんはそれだった。
「つうか、灰野ってリードしないの?」
「リード?」
そう、首を傾げた時。
「なに人の話してんの」
灰野くんがあたしの肩を優しく叩いた。
彼の手が触れたところだけがじんじんと熱くなる、不思議な感覚。