【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。
「何の話?」
ちらっとこっちを見た灰野くんと目があって、たったそれだけでドキドキする。
ナギちゃんはいたずらっぽく笑って灰野くんの肩を叩いた。
「キスの話をしてただけ」
何で言うの!?
慌てるあたしをナギちゃんはわざとらしいくらい見ない。
「……キス?」
灰野くんが、あたしに疑問符付きでそんな言葉を口にした。
「どういうこと?」
灰野くん気付いてないのかな。周りからの視線。大集結してるよ……あたしたちに。
「あの、ちょっと来て……!」
だからこの場から逃げるように、灰野くんを廊下に連れ出した。