【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。
灰野君はいぶかしげにあたしの顔を見ている。
「ちょっと変な話をしてたの……それだけだから」
「変なってキスのこと?ナギとそんな話してたの?仲いいね」
その「仲いいね」は微笑ましいとは真逆の意味合いで聞こえたから、あたしは一心不乱に言葉を返す。
「誤解しないで!ナギちゃんとそういうことするって話じゃないから!」
絶対にそんなことはないから……!
だんだん熱くなる頬に手を添える。
だって灰野くん相手に、なんの話をしてるの?!
キスだよ?キス!
「じゃあ……俺と?」
灰野くんは地面を見ながらそう言った。
俯いて流れる前髪から覗く顔は、真っ赤で。
あたしもつられるみたいにもっともっと赤くなる。