【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。
「……はい」と恐る恐る頷いたあたしを灰野くんはちらっとだけ確認した。
「……屋上」
「え?」
「屋上行かない?」
灰野くんの誘いにあたしは迷わず頷いて、ついていく。
放課後の静かな暗がりの階段。上に行くほど明るくなって、屋上の扉の窓から冬の日差しが注ぎこむ。
差し込んだ光に灰野くんは目を細めながら扉を引いた。
一歩入った屋上の冷たい風。ぶるっと体が震える。
がちゃん。
あたしと灰野くんを迎え入れて、屋上の扉は閉まった。