【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。
「じゃあ……しよっか」
灰野くんは、真っ赤な顔と震える声でそう言った。
あたしの心臓は限界と言わんばかりにドクドクと鳴り続けている。
「うん……」
あんまりに綺麗な目があたしをまっすぐに見ていて……。
息の吸い方がわからない。
おかしくなりそう……。
一瞬雲に隠れた太陽が、再び顔を出す。
薄らいだ色。明るい世界。うるさい鼓動。
全部の刺激が、あたしの心臓を意味不明に急かす。
灰野くんの片手が、おそるおそるあたしの肩にふれた。
灰野くんの方が背が高いけど、そこまでの身長差はない。
だからすぐそこに、大好きな灰野くんの顔があるの……。
鼓動が転げるように速まっていく。