【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。
昼間、俺と藍田さんが歩いたところに差し掛かる。
ツツジが枯れて、紫陽花のひとつでも咲いてない散歩コースじゃ藍田さんは楽しくないだろうって、道を変えたけど。結局どこも大して変わんなかったな。
藍田さん好きかなってイメージのあった星も、ちょっと見上げただけだった。
俺の横にいるの、つまんないんだろうな。
でも何話せばいいの。
「藍田さん」
え……?無視?
まじで?
「藍田さん?」
さっきよりボリュームを上げたのに、本気で無視してんの?
つかどこ見てる?上の空すぎない?
まさかなんかに憑りつかれた?
「藍田さん!」
藍田さんの前に立ちはだかり、彼女の両肩に手を置いて名前を叫ぶ。
「えっ!?」
藍田さんはビクッとして俺を見上げた。
……憑りつかれてない?
あ、普通だ。普通に藍田さんだ。
「なんでそんなぼうっとしてんの。びっくりした……」
がちの肝試しだったからね。