【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。
なんでもいいから、会話。

あ-そうそう、


「昔のことって何を思い出してたの」


「えっと……言ったら灰野くん怒るよ」


俺が怒る?

それって、「ナギとの話?」


「ううん。ナギちゃんじゃないよ」

「じゃあ何?」


「絶対に怒らない?」

「怒んないよ」


ってか、藍田さんに怒ったことなくない?


……なんで藍田さんっていつも俺にビビるんだろう。


「思い出してたのはね、灰野くんとの屋上で……き、キスしようとしたあの事件」


はああああああああ。


深海1万メートルの溜息と共に地面に崩れ落ちたい衝撃。


「事件」


キスをしようとした”事件”とまで言われる俺の消し去りたい過去。いや、藍田さんに消してもらいたい過去。


俺がダサすぎて、藍田さんの気持ちが完全にナギに持ってかれたあの”事件”。




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