月夜に花が咲く頃に
0.夜の街
そこは、ネオンの光で溢れた夜の繁華街。
仕事帰りの人や、すでに酔っ払い、できあがっている人。
店に誘う人や、誘われる人。
そんな中で、か弱い少女の小さな嘆きが聞こえた。
そちらを見てみれば、恐怖で顔を引きつらせた高校生くらいの女の子が、がたいのいい男二人組から路地裏に引きづられようとしていた。
珍しいことではない。夜の繁華街ではよくある話だ。
通り過ぎる人も、誰も助けようとはしない。
素知らぬ顔で、素通りだ。
だって、なんの意味もない。
とばっちりなんて、誰でも御免被る。
――――――――だが、そこに一人。
夜が、かけめぐる。
通り過ぎる人の間を、一瞬だけ、暗い影が通った。
女の子が連れ込まれた路地裏に入り込んだと思ったら、その数秒後には、もう終わっている。
ふと路地裏をのぞいてみれば、そこにはのされた男たちとそれを尻目に佇んでいる者が一人。
女の子は、もうすでに逃がしたようだ。
佇んでいたそいつは、真っ黒なフードを外し、その輝く銀髪をあらわにした。
――――――――"ヨル"
彼女は、そう呼ばれている――――――――・・・・・・
仕事帰りの人や、すでに酔っ払い、できあがっている人。
店に誘う人や、誘われる人。
そんな中で、か弱い少女の小さな嘆きが聞こえた。
そちらを見てみれば、恐怖で顔を引きつらせた高校生くらいの女の子が、がたいのいい男二人組から路地裏に引きづられようとしていた。
珍しいことではない。夜の繁華街ではよくある話だ。
通り過ぎる人も、誰も助けようとはしない。
素知らぬ顔で、素通りだ。
だって、なんの意味もない。
とばっちりなんて、誰でも御免被る。
――――――――だが、そこに一人。
夜が、かけめぐる。
通り過ぎる人の間を、一瞬だけ、暗い影が通った。
女の子が連れ込まれた路地裏に入り込んだと思ったら、その数秒後には、もう終わっている。
ふと路地裏をのぞいてみれば、そこにはのされた男たちとそれを尻目に佇んでいる者が一人。
女の子は、もうすでに逃がしたようだ。
佇んでいたそいつは、真っ黒なフードを外し、その輝く銀髪をあらわにした。
――――――――"ヨル"
彼女は、そう呼ばれている――――――――・・・・・・
< 1 / 225 >