月夜に花が咲く頃に
「じゃ、ちょっとここに座っててね」


明原は階段に一番近い部屋の中にあるソファに私を座らせて、部屋を出て行ってしまった。


というか、今までつい流されてここまで来ちゃったけど・・・・・・。


ここ、どこなんだろ。


ぐるりと周りを見渡すと、シンプルな木目調の机と椅子、そしてふかふかのベッドが置いてある。


私の座っているソファもそりゃもうふかふかで、座り心地抜群だ。


どこぞのお坊ちゃんのお部屋でしょうか。


さっき見た建物の外見とのギャップにまたちょっと笑ってしまう。


おかしなところだなあ。


ちょっと興味がわいてきて、部屋の中を探索しようかどうか悩んでいると、後ろのドアがガチャリと開いた。


明原が戻ってきたのかと振り返ると、そこにいたのは長身の赤髪で、よく知っている顔の男。


「ん?君、確か京極さん?」


奥山楓が立っていた。





え、どういうこと?


なんで明原から連れてこられたところに奥山が、ていうか、そういえばさっきの人たちもなんの集まりで・・・・・・。


あまり働かない頭で必死に考える。


大人数で、明原と奥山に共通するもの・・・・・・。


ここまで考えて、気づいてしまった。


逆に、何で気づかなかったんだ。








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