月夜に花が咲く頃に
・・・・・・まあ、私にはもう関係ないか。


「おい、雫?急にだんまりしちゃってどうしたんだよ?」


「んー?なんでもないよ」


今の自分の頭の中を、探られたくなくて、見られたくなくて。


精一杯、光に向かって笑ってみせた。


「?変な奴だな」


「あんたに言われたくないけどね」


光とあーだこーだと言い合いを始めていると、突然目の前の道を塞がれた。


正確には、大量のバイクによって立ち止まらざるをえなかったんだけど。


光の表情が変わる。


大量のバイクの先頭にいる男が、メットを外した。


「お前らが暁、で合ってるよな?」


「だったらなんだよ」


光が目の前の男と睨み合う。


いつの間にか私は光の後ろにいて、周りの子達も私を囲うように立ってる。


毎回毎回、この男達は何かある度いつも私を守るような配置で立つ。


そりゃあもう、SPですか、っていうくらいに。


暁の奴らとは何回か手合わせしてるし、それで負けたことなんか一度だってない。


おかげで紅雅達三人以外の全員から姐さん、と呼ばれるようになったくらいだ。


そのくせこういうときは絶対前には出してくれない。


暁の奴らって、意外と紳士?


その優しさはほんとに嬉しいけど、守られる感じは慣れてなくてなんだか落ち着かない。


< 107 / 225 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop