月夜に花が咲く頃に
「姐さん、大丈夫っすから、ここは俺たちに任せてください!」


ほら、そんな言葉かけられるのも。


なんだか、むずがゆいんだってば。


それにしても。


光の陰からひょこ、と顔を出して、相手の数を見る。


これは、数十、いや、百?


襲撃が始まってから、一番多い。


なんで今日はこんなに大人数なんだろう。


「ちょ、雫、顔出すなよ。バカかお前は」


「だってどのくらいいるのかなって思ったから。ずいぶん多いね」


「あ?まあそうだな。いつもの倍以上いんのか?これ」


「そうなんじゃない?」


「おい、俺を無視してしゃべってんじゃねえよ」


光と話してたら、目の前の男から怒られた。


あ、そっか。


今睨み合い中だったもんね。


ごめん、お邪魔して。


「とにかくだな、今日は男達に用はねえんだよ。そこにいる女、こっちによこせ」


男の言葉に、思わずん?とまた顔を出してしまう。


光と周りの子達がそんな私を後ろに押し戻した。


「ああ?やるわけねえだろ」


光が殺気を放ってそう言うと、男は笑った。


「そんなに大事か、その女」


「うるせえ。雫は渡さねえ」


光は私の腕を掴んで、さらに自分の後ろへ隠した。


腕を掴む力が強くて、少し痛い。


光を見上げるけど、その瞳は目の前の男を見据えたまま逸らされることはない。


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