月夜に花が咲く頃に
そもそも、なんでこいつらも私を狙うんだろう。


女なら人質になるとでも思ってるのかな。


そもそも、私を人質に取ったとして、暁が動くかどうかだって曖昧なのに。


だって私は、仮の仲間であって本当の仲間じゃないから。


まあでも、端から見たら私は暁に出入りしてるただ一人の女であって。


そんな内輪の事情とか、関係なく、私は暁の弱点なのだろう。


「まあ、そう簡単によこしてくれるなんて考えてねえよ。だからこれだけ集めてきたんだし」


目の前の男はチラリと自分の後ろで待機している男の集団を見る。


どうやら本気で私を連れて行こうとしているらしい。


光は小さく舌打ちをしてから、髪をかき上げる。


「数でごり押ししようってか?そんなに暁は甘くねえぞ」


来いよ。


光のその言葉で、喧嘩は始まった。


男達が一斉にこちらに向かってくる。


もみくちゃになりながら、たくさんの手が私に向かって伸びてきた。


その手を振り払い、光に背中を向けて応戦する。


光は私の背中から数㎝の位置で、向かってくる奴らを片っ端から倒していった。


さすが暁、と言うべきだろうか。


あんなにたくさんいた敵を、たった数人であっという間に片していく。


先頭を切っていたあの男は、その様子を苦虫をかみつぶしたような顔で見ていた。


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