月夜に花が咲く頃に
あれから、どのくらいたったんだろうか。


時計がないから時間は確認できないし、窓もないから外の様子も分からない。


せめてあのドアが開いたら、外が少し見えるのかもしれないけど、開く気配もないし。


光達は、大丈夫だったのだろうか。


あの後、どうなったんだろう。


怪我とか、してたらどうしよう。


また、人を傷つけた・・・・・・?


『お前みたいな弱い奴には、居場所なんてないんだよ』


いつか聞いたあの人の冷めた声がよみがえる。


思い出したくないこと、思い出しちゃったなあ。


ていうか、こんな憂鬱に浸ってる場合じゃない。


ここから抜け出す方法を考えなくちゃ。


腕を上げっぱなしも疲れるし。


とりあえず腕の縄をほどきたくて、手首を回そうと試すけど、ぎっちぎちに結ばれた縄はとれそうにもない。


柵ごと壊してやろうか。


あまりにもびくともしないからムカついて、柵をガンガン殴りながらがむしゃらに外そうとしていたら、部屋のドアがガチャリと音を立てた。


「あ、起きてんじゃん。気分はどう?」


現れたのは気絶する前に私の前に現れた、あの男。


あのときと同じ薄ら笑いを浮かべて、近づいてきた。


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