月夜に花が咲く頃に
参
紅雅は私を見るなり一瞬安心したような顔をした。
けど、その顔はすぐに鬼の形相に変わって、ずかずかとこちらに向かってくる。
そして私の近くにいた奈桐を思いっきり殴り飛ばした。
奈桐は遠くまで吹っ飛ばされ、壁に背中を強く打ち付ける。
ああ、痛そう・・・・・・。
紅雅はベッドに縛り付けられた私を見て、またほっとしたような顔で息を吐いた。
「今解く」
紅雅はしゃがんで、私の腕を縛る縄に手をかける。
解く間顔の近くにあった紅雅の肩が、激しく上下に揺れていて。
心配、かけてしまった。
なんだか申し訳なくなって、俯いてしまう。
ふと腕が軽くなって、縄がほどけたことに気づく。
身体を起こして紅雅にお礼を言おうと顔を上げると、途端に強く抱きしめられた。
「くう、が?」
「うるせえ、黙れ」
紅雅はそれだけ言って、離そうとしない。
紅雅の身体が微かに震えているのを感じて、また申し訳なくなって苦しくなる。
足手まといにならないようにって、約束したのに。
こんなにも、心配をかけてしまった。
迷惑をかけてしまった。
ほんとに、私は使えない奴だ。
けど、その顔はすぐに鬼の形相に変わって、ずかずかとこちらに向かってくる。
そして私の近くにいた奈桐を思いっきり殴り飛ばした。
奈桐は遠くまで吹っ飛ばされ、壁に背中を強く打ち付ける。
ああ、痛そう・・・・・・。
紅雅はベッドに縛り付けられた私を見て、またほっとしたような顔で息を吐いた。
「今解く」
紅雅はしゃがんで、私の腕を縛る縄に手をかける。
解く間顔の近くにあった紅雅の肩が、激しく上下に揺れていて。
心配、かけてしまった。
なんだか申し訳なくなって、俯いてしまう。
ふと腕が軽くなって、縄がほどけたことに気づく。
身体を起こして紅雅にお礼を言おうと顔を上げると、途端に強く抱きしめられた。
「くう、が?」
「うるせえ、黙れ」
紅雅はそれだけ言って、離そうとしない。
紅雅の身体が微かに震えているのを感じて、また申し訳なくなって苦しくなる。
足手まといにならないようにって、約束したのに。
こんなにも、心配をかけてしまった。
迷惑をかけてしまった。
ほんとに、私は使えない奴だ。