月夜に花が咲く頃に
暁の倉庫に着いてから、問答無用で紅雅の部屋に連れて行かれる。


なんで幹部室じゃなくて紅雅の部屋なんだろう?


不思議に思っていると、紅雅の口から驚愕の一言が発せられた。


「脱げ」


「は、?」


思わず素っ頓狂な声を上げてしまう。


ふざけているのかと思ったが、紅雅は真剣な顔で私を見ていた。


「な、何、突然」


紅雅はオロオロする私をひょい、と抱き上げて、ベッドの上に下ろす。


途端に、すごい勢いで私のシャツを剥ぎ取った。


「ぎゃあああああ!ちょっと、何して、」


「うるせえ。黙ってろ」


騒ぐ私をよそに、紅雅は私の腹の傷に消毒をしみこませた。


「っ、」


ピリ、と痛みが走る。


もしかして、怪我の治療をしてくれてる?


それならそうと言ってくれればいいのに・・・・・・!


無言で急に行動するから、私も混乱するんじゃないか!


てか、腹の治療だけならシャツ全部脱がせなくてもいいじゃん!


言いたいことは散々あったけど、真面目に治療してくれてる紅雅に言えるはずもなく。


ただ黙って、治療が終わるのを待つしかなかった。


「お前、小田巻に何された」


腹の治療が終わってから、紅雅は私の頬に手を当てて呟いた。


少しだけ、鈍い痛みが走る。


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