月夜に花が咲く頃に
「そんな、大したことはされてないよ。腕縛られて、頬を一回殴られただけ」


「ああ?」


ひいぃ、怒っていらっしゃる。


紅雅ははあ、とため息をついてから、私の上に覆い被さってきた。


ちょ、その体勢だと下着姿の上半身があなたに丸見えになるんですけど!?


せめてシャツ返してくれない!?


慌てて両手で胸を覆う。


「頬、痛いか?」


「え、少し・・・・・・」


「ったく、腫れてんじゃねえか」


紅雅はそう言って、私の頬を優しくなでた。


少し痛いけど、小田巻に触られた時みたいに嫌な感じはしなくて、それどころか少し気持ちよくて、力が抜けてしまう。


私の顔を見た紅雅は、妖艶に笑った。


「腕も見せろ」


胸を隠してた腕を掴んで、優しく触れる。


その手が少しだけ胸に当たって、ぴくりと肩を揺らした。


「ちゃんと見れないだろ。腕の力抜け」


「い、いいから!大丈夫だから!手離して!」


腕の力抜いたら、隠してる胸があらわになっちゃう!


下着付けてるからって、恥ずかしいことに変わりはない。


「わがままな奴」


紅雅は頑なに腕を動かそうとしない私の様子を見て、その顔を腕に近づけた。


「だったらこのまま治療すんぞ」


そう言って、赤く腫れ上がった私の腕に、その唇を押しつけた。


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