月夜に花が咲く頃に
「何やってんの!バカ!チャラ男!」


「それ言ったら紅雅もチャラ男じゃん」


「そうだよ!ほんとあんたたちは、誰にでもこういうことして、」


「あー、はいはい、ごめんなさーい」


ぐっ、まったく反省してない。


「ていうか、紅雅は知らないけど俺はもうチャラ男じゃないし」


どの口が言ってんだ。


今お前がやったこともう忘れたのか。


じと、と光を睨むと、光は私の唇に自分の指を当てて、にっと笑った。


「俺はもう、本気の子にしかこういうことしねえから」


「・・・・・・いや、全然説得力ないんだけど」


「だーかーらー、・・・・・・まあいいや。そのうちちゃんと言うから」


「なんのこと?」


「まだ言わない。ほら、みんなのとこ戻るぞ」


光はそれだけ言って、無言で浜の方へ戻っていく。


浅瀬につくと、光は私を地面へ降ろした。


「雫!大丈夫だった?」


浅瀬で楓と遊んでた翼が、私と光を見つけて抱きついてくる。


楓は翼に付き合って疲れたのか、パラソルの下に戻っていった。


「ちょっとチャラ男!雫に何もしてないでしょうね!」


「あー?何もしてねえよ。なあ?」


光が私に話を振ってきて、にやりと笑う。


まさかキスマークを付けられましたなんて、言えるはずもなく、私は頷くことしか出来なかった。


「じゃあいいけどっ。雫、遊ぼ!」


「俺はパラソルに戻るわー」


光は海から上がっていき、私は翼とビーチボールで遊ぶ。


海にすっかり慣れて、足がつくところでなら少し泳げるようになった頃には、お腹がペコペコだった。


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