月夜に花が咲く頃に
「お腹すいたね!なんか買ってこよっか!」


「うん。焼きそば食べたい」


翼と海から上がって、出店の方に足を運ぶ。


焼きそばの兄ちゃんに焼きそば一つ、と頼むと、兄ちゃんはニコニコ顔で目玉焼きをサービスで乗っけてくれた。


「翼は何食べるの?」


「うーん、かき氷食べたい!あとたこ焼き!」


二人で出店が並ぶ道を歩く。


翼とこうやって二人で騒ぐのは久しぶりで、なんだかテンションが上がってしまう。


かき氷とたこ焼きも買い終わって、紅雅達のところへ戻ろうとすると、前に二人の金髪の男が立ちはだかった。


「ねえねえ、お姉さん達、二人で海に来たの?」


「俺らも二人なんだよね。よかったら俺らと遊ばない?」


こ、これは。


噂に聞く、ナンパとかいうやつですか。


海に来ると、色んな体験が出来るんだなあ。


でも、今はせっかく翼と二人きりだし、邪魔しないでほしい。


翼をチラリと見ると、まるで般若のような顔をして男達を睨んでいた。


「結構なんで、通してください」


不機嫌度MAXの翼。


それなのに男達は怯むことなく、私たちの肩を掴んできた。


「そんなこと言わないでさあ」


「ほら、やっぱ男女の方が楽しいじゃん」


「勝手に決めないでくれる?私は雫と二人で十分なの!」


翼が威嚇して、手を払いのけるけど、男達はニヤニヤと笑うだけ。


あー、なんか面倒なことになってる気がする。


このままじゃ拉致があかないし、なにより翼の怒りメータが振り切れそうだ。


私は翼と同様方に置かれた手を払いのけて、翼の手を引っ張った。


「あの、私たち、そろそろ失礼します」


「え?待ってよ。話し終わってないじゃん」


「ナンパなら他を当たってください」


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