月夜に花が咲く頃に
「まあ、そうだね。俺も京極さんと少し話してみたいし、悪いけどもう少しここにいてもらえるかな?」


奥山の笑顔はどす黒いオーラが出ていて。


怖い。


こいつ腹の中は真っ黒だな。


私は、頷くことしか出来なかった。


最悪だ。


とりあえず翼には大丈夫だって連絡だけ入れておこう。


ポケットの中のスマホを取り出して、翼にメッセージを送っていると、ひょい、とスマホを横から奪われた。


「あ、ちょっと何すんの」


「へへーん、雫ちゃんの連絡先ゲットー」


得意げに鼻歌を歌いながら、明原は勝手に自分のスマホに私の連絡先を入れ始める。


いかにも慣れた手つき。


さすがチャラ男、とでも言えばいいのだろうか。


「はあ・・・・・・。もうこいつには何を言っても無駄な気がする」


「ごめんね京極さん。こいつの女好きとチャラいのはもう不治の病なんだ」


「二人して辛辣すぎるんだけど!」


涙目の明原は無視して、奥山からコーヒーをもらう。


「ありがと」


「いえいえ。口に合うといいんだけど」


コーヒーを少し口に含む。


「あ、おいしい」


「ほんと?よかった」


穏やかに笑う奥山は、まさに紳士。






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