月夜に花が咲く頃に
まるで、忘れちゃいけないよって、警告されてるみたいに。



きっと、あんた達といる時間が、私にとって楽しすぎて。



私の本来の目的とか、本当の私とか。



私の、問題とか。



忘れちゃいそうなくらい、楽しかったの。



居心地がよかったの。



だからきっと、無意識に、ダメだよって、頭の中でもう一人の自分が警告を鳴らしてた。



これ以上、彼らに近づいちゃいけない。



近づいたら、きっと戻れなくなる。



知ってたの。



ごめん、ごめんね、紅雅。



あんたは、私が一人じゃないって、自分の仲間だって、守ってくれるって。



ずっと言ってくれていたけど。



そう言われる度、あんたがそうやって私を抱きしめる度に。



自分の心に嘘ついて、紅雅達にもごまかす様に笑うのが、どうしようもなく、辛くなっていったの。



そのたびに、私は一人じゃなきゃいけないんだって、自分に言い聞かせるのが、息が出来なくなりそうなくらい苦しくなっていったんだよ。



「紅雅、聞いて」



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