月夜に花が咲く頃に
ごめん。もう、ダメだ。



「紅雅、あんた、前に言ってたよね」



これ以上、一緒にいたら、溢れてくる。



「私が、一人でも大丈夫って証明できたら、開放してくれるって」



溢れてしまいそうになる。



「紅雅、私ね、紅雅達と、暁のみんなと会ってから、改めて思ったの」



紅雅は、何も言わない。



黙って、真っ直ぐに私の目を見つめて、私の言葉を待っている。



「私、一人の方が強くいれる。私に、暁も、仲間も、必要ない」



紅雅のその目を真っ直ぐに見つめ返した。



紅雅の表情は何も変わらなくて。



しばらくしてから、そっと私の腕が開放された。



ゆっくり身体を起こす。



途端に、紅雅の拳が顔めがけて飛んできた。



「!?」



間一髪で避けてかわすけど、砂浜に足を取られて体勢を崩す。



紅雅の拳がもう一つ跳んできて、避けられないことを察し、意を決して殴られる覚悟を決めて目を閉じた。



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