月夜に花が咲く頃に
「隠すな。全部、見せろ」



「ゃ、だっ・・・・・・、離して、」



「ぜってえ離さねえ」



なんで、なんで。



お願い、止まって。



こんな、泣くつもりなんて、これっぽちもなかったのに。



止めようとすればするほど、溢れてくる。



「我慢すんな。全部吐き出せ」



ほら、そんなことばかり言うから。



涙と一緒に、私の口から、苦し紛れの本当の心まで、こぼれ落ちてしまった。



「っ、だって、だって!みんなそうだった!私と関わって、私が信じたいと思った人みんな、みんないなくなっちゃう・・・・・・!」



紅雅は悪くないのに、私は紅雅の胸ぐらを掴んで。



紅雅を責め立てるみたいに、言葉は止まない。



「大事な人が出来れば出来るほど、私はどんどん苦しくなるっ、だから、」



紅雅は、何も言わない。



「あんた達と一緒にいて、どんどん楽しくなってきちゃって、いけないって分かってるのに、私は、一人でやらなきゃいけないことだって、あるのにっ、」



そうだよ。



私は。



そうやって、いつからか人と関わりを持つことを避けるようになった。



仲良くなったって、信頼できる人が出来たって。



絶対、最後には自分の近くから、隣から、いなくなる。



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