月夜に花が咲く頃に
何回も経験して、何回も学習した。



身をもって知ってる。十分すぎるほどに。



「なのに、離さないなんて言われたら、また、信じたくなっちゃうじゃないっ、だから、もう後戻りできなくなる前に、私はあんたたちから離れたいの・・・・・・!」



ボロボロと、情けなく、みっともなく涙を流して、バカみたいに怒鳴って。



私、何やってるんだろう。



こんな話、紅雅にしたって、どうしようもない。



こいつには、関係ないのに。



「・・・・・・」



紅雅は、何も言わずに、ずっと私を見てるだけだ。



私は紅雅の胸ぐらを離して、紅雅から身体を引き離そうとした。



でも、やっぱり紅雅は私の腰に回す手を離してはくれなくて。



こいつ、今言われたこと、分かってるんだろうか。



私は今真っ正面からあんたを必要ないって、信頼なんて出来ないって、言ったのに。



こんなこと言われたら、普通怒ったり、呆れたり、するでしょ?



「なあ、雫」



「・・・・・・なによ」



怒られるのかな。



それとも、呆れられてもう突き放される?



そうしてほしかったはずなのに、いざその瞬間になると、胸のあたりがツキリときしむ。



ほんと、バカだな。



この瞬間は、いつになっても慣れない。



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