月夜に花が咲く頃に
「・・・・・・っ、そんなの、信じない、」



「ああ、それでいい」



「あんたなんか、信じないっ・・・・・・!」



「ああ。でもそれは、俺がお前と離れる理由にはならねえ」



どこまで、お人好しなんだろうか。



なんで、この男は、私にそこまで優しくするの・・・・・・?



分からないよ。



分からないけど。



信用だって、出来ないけど。



これ以上、紅雅を突き放すなんて出来なかった。



「俺はお前を離さねえ。何があろうと、何を言われようと、ぜってえ離さねえ」



その言葉を、信じるわけじゃない。



でも、だけど。



「っ、ふっ、ぇ」



胸のあたりに感じてた痛みは少しだけ和らいで。



紅雅の腕の中で流してた涙は、しょっぱくて、冷たくて。



でも、ほんの少しだけ、温かかった。






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