月夜に花が咲く頃に
じっと紅雅の放つ言葉を待っていたら、紅雅が突然私の目を大きな手で塞いだ。



「な、なにっ」


「多分、お前がヨルになった理由に関係してる」





・・・・・・え?



ふと、暗かった視界が明るくなる。



目の前には、紅雅の顔。



辛そうな、悲しそうな顔。



なんで・・・・・・?



なんでそんな顔してるの?


なんで紅雅が私がヨルになった理由を知ってるの?



紅雅は、"あの人"を知ってるの・・・・・・?




頭の中で、ぐるぐると疑問だけが生まれてくる。



私、今どんな顔してるんだろう。



紅雅は、今何を思ってるの?



分かんないよ。



全部、分からない。



「お前、探してんだろ」



でも、だけど。



「・・・・・・(ひろ)さんのこと」



紅雅のどうしようもなく哀しい瞳が。



「知りたいか」



残酷なほどに、私に理解させた。






紅雅は彼の居場所を知っている。



――――そして。















きっと、彼は今、きっと、あの時のように、私に笑いかけてはくれない・・・・・・。












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