月夜に花が咲く頃に
何も言わない私を好都合だと思ったのか、奥山が話を続ける。


「ヨルは、いわゆる闇の掃除屋ってとこかな。長い銀髪に青い瞳。身長は165~170㎝ってとこかな。・・・・・・言いたいこと、分かる?」


「・・・・・・」


「京極さん、あまりにもその特徴と合いすぎてるんだよ」


手が、冷たくて上手く動かない。


ばれるわけには、いかないのに。


「京極さんって、ヨルなのかな?」


空気が重たい。


私は小さく深呼吸して、まっすぐ奥山を見つめ返した。


「まさか、そんなわけないよ。ヨルがどういうやつかは知ってるけど、私じゃない。そもそも、そんな危ないことやってる人だったら、日中は正体がばれないように変装でもするんじゃないの、普通は」


声が、少し震えたかもしれない。


でも、奥山は私の答えにそれもそうか、と納得して、ようやく私から視線を外した。


「じゃあ、雫ちゃんのその髪と目って、ヨルリスペクト的な?」


「いや、生まれたときからこんなんだけど」


「え、素でそれなの!?」


「まあね」


「ハーフ、とかか?」


「・・・・・・まあ」


「ひえええ、ほんとにいるんだ、、」


いやいるだろ。


てかあんたのその食いつきように私は引いてるけど。





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