月夜に花が咲く頃に
半ば放心状態のまま、私はヒロ兄と陽向と一緒に病院へ向かった。
そこで見たのは、私たちに向かって頭を下げて去って行くお医者さんと看護師さんと、白いベッドに横たわる変わり果てた母親の姿だった。
「お母、さん・・・・・・?」
恐る恐る母親の手を触る。
まだその手は温かくて、母はただ静かに寝ているみたいだった。
「ヒ、ロ兄、お母さん、なんで、」
「雫、」
「だって、ついさっきまで、笑って、『行ってきます』って、」
「っ・・・・・・」
「ね、寝てるだけ、だよね?きっと、もう少ししたらっ」
「・・・・・・交通事故だったらしい。居眠り運転してたトラックが、ハンドル切って歩道に突っ込んだって。おばさんは、子供が轢かれそうになったのをかばって・・・・・・そのまま」
ヒロ兄の言葉を、理解したくなくて。
だけど、握る手はどんどん冷たくなっていって。
「雫・・・・・・」
受け入れがたい目の前の真実を。
耳をつんざくくらいの陽向の泣き声が、容赦なく私の頭に無理矢理ねじ込むみたいに、理解させる。
お母さんは、もういない。
死んだんだ――――・・・・・・・・・・・・。
そこで見たのは、私たちに向かって頭を下げて去って行くお医者さんと看護師さんと、白いベッドに横たわる変わり果てた母親の姿だった。
「お母、さん・・・・・・?」
恐る恐る母親の手を触る。
まだその手は温かくて、母はただ静かに寝ているみたいだった。
「ヒ、ロ兄、お母さん、なんで、」
「雫、」
「だって、ついさっきまで、笑って、『行ってきます』って、」
「っ・・・・・・」
「ね、寝てるだけ、だよね?きっと、もう少ししたらっ」
「・・・・・・交通事故だったらしい。居眠り運転してたトラックが、ハンドル切って歩道に突っ込んだって。おばさんは、子供が轢かれそうになったのをかばって・・・・・・そのまま」
ヒロ兄の言葉を、理解したくなくて。
だけど、握る手はどんどん冷たくなっていって。
「雫・・・・・・」
受け入れがたい目の前の真実を。
耳をつんざくくらいの陽向の泣き声が、容赦なく私の頭に無理矢理ねじ込むみたいに、理解させる。
お母さんは、もういない。
死んだんだ――――・・・・・・・・・・・・。