月夜に花が咲く頃に
弐
「・・・・・・それで、ヒロ兄はそれからずっと私たちを支えてくれてたんだけど、・・・・・・急に、いなくなったの。私が中学2年生の時の夏に、突然。訳が分からなかった。いなくなった理由も、どこに消えちゃったのかも。何も分からなくて・・・・・・。だから、私はヒロ兄を探すことにしたの。ヒロ兄が夜によく街に行っていたのは知ってたから、私も夜に街に出て情報を探した。ヒロ兄が通ってた高校にも入って、ただヒロ兄を探し続けてた。まあそうしているうちに、いろんな変な奴らに絡まれるようになって、喧嘩もするようになって。そうしたらいつの間にかヨルなんて呼ばれるようになったんだ。私がヨルになったのは、こういうこと」
紅雅は黙って私の話を聞いてくれた。
一度にたくさんしゃべって一息つくと、紅雅はそうか、と一言呟いた。
「・・・・・・それで、紅雅も、ヒロ兄を知ってるんだよね?」
「・・・・・・ああ」
ようやく、ヒロ兄の行方が分かる。
心臓が波打つように強く鳴って、痛い。
「・・・・・・俺は、お前に話す義務がある。俺がお前を探していた理由も、浩さんのことも。お前がそれを望むなら」
紅雅の表情は硬くて、空気は重たかった。
それでも、聞きたい。知りたいの。
「教えて、紅雅」
紅雅はやがて、静かにぽつり、ぽつりと話し始めた。
紅雅は黙って私の話を聞いてくれた。
一度にたくさんしゃべって一息つくと、紅雅はそうか、と一言呟いた。
「・・・・・・それで、紅雅も、ヒロ兄を知ってるんだよね?」
「・・・・・・ああ」
ようやく、ヒロ兄の行方が分かる。
心臓が波打つように強く鳴って、痛い。
「・・・・・・俺は、お前に話す義務がある。俺がお前を探していた理由も、浩さんのことも。お前がそれを望むなら」
紅雅の表情は硬くて、空気は重たかった。
それでも、聞きたい。知りたいの。
「教えて、紅雅」
紅雅はやがて、静かにぽつり、ぽつりと話し始めた。