月夜に花が咲く頃に
――――・・・・・・俺が浩さんと会ったのは、中学に上がってすぐの頃だった。



適当な奴らとつるんで、喧嘩したくなったら適当に暴れて。



そんな退屈な毎日が淡々と過ぎていた。



「紅雅ー。今日はどうするよ。また街で暴れるかー?」


「オヤジ狩りってのもありじゃね?金手に入るしさー」


「・・・・・・なんでもいい」



俺らはその日も街に出て、ぶらぶらと歩いていた。



「・・・・・・お。あそこに男子高校生発見ー」


「は?高校生に手え出すのかよ?」


「俺らなら高校生でも勝てるっしょ。最近俺ら最強中学生とかって有名らしいぜ」


「まじ?俺ら有名人じゃーん」



今思えば本当にあの頃の俺らは幼稚で馬鹿で、自分たちが最強だなんて、思い上がってた。


でも、そんな馬鹿な考えは、一瞬で恥へと変わった。




「なっ、なんだこいつ、強すぎんだろ!」


「訳分かんねえ・・・・・・、ばけもんかよ、」


「っ・・・・・・」



俺たちが喧嘩をふっかけたのは、浩さんで。


ものの数分で、浩さん一人にぼこぼこにやられたんだ。



「くそっ、おい、行くぞ!」


「あ、ああ・・・・・・」



その時つるんでた奴らは、いつの間にかいなくなっていた。



俺一人だけ、動くことが出来ずにぼーっと目の前に立つ男を見ていた。



< 168 / 225 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop