月夜に花が咲く頃に
「おいおい、お前ら仲間じゃねえのか?他の奴ら行っちまったぞ」


「・・・・・・別に、あいつらとは適当につるんでただけだ」


「ふーん。で、お前はなんで逃げねえの?」



そんなの、俺だって分かんねえ。


別に、立ち上がれないわけじゃない。


ましてや、まだこの男と喧嘩を続ける気もない。


自分でも、正直分からなかった。



「・・・・・・お前、なんでそんなに強いんだ」


「んあ?さー、そんなこと考えたこともねえからな。それに、俺なんて大したことねえよ。俺より強いやつなんて、腐るほどいる」



衝撃的だった。


今まで自分が最強だなんて、そんな思い上がりをしていた自分が惨めになった。



「・・・・・・俺、強くなりてえ」



気づいたら、呟いていた言葉。


それが聞こえたのか、目の前の男はニカッと笑って、俺に手を差し出した。



「じゃあ、俺と来い。俺の仲間になれ」





・・・・・・それから俺は、暁の一員になった。



浩さんはその時暁の11代目総長で、みんなから慕われてた本当にすごい人だった。


いつもあっけらかんと笑っていて、みんなの中心にいて。


みんなと一緒にバカなことしては笑って、たまにみんなにいじられたりもして。



でも、いざって時はいつだって最前線に出て、どこまでも“頭”だった。


誰よりも仲間を大事にしていた、俺の憧れ。



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