月夜に花が咲く頃に
柄じゃないけど、俺は浩さんに自然と懐いていったし、浩さんも俺のことをすごくかわいがってくれた。




「そういえば浩さん、浩さんの携帯の待ち受けの女って、浩さんの彼女?」


ある日たまたま目に入った浩さんの携帯の待ち受け。


そこに映ってたのは、長い銀髪を揺らして笑ってる女だった。


「あ?ばか、ちげーよ。こいつお前と同じ歳だぞ?妹みてえなもんだよ」


「ふーん・・・・・・」



浩さんに、妹なんていたのか。


ん?でも妹みたいなもんってことは、血が繋がってるわけではねえのか?



「こいつはすげえ強い女なんだぞ。俺よりも断然強い」


「は?この女が浩さんより強いわけねえじゃん。つうか、浩さんより強い女なんていねえだろ」


「お前なあ・・・・・・。前も言っただろ。俺より強いやつなんて、腐るほどいるんだよ。それに、強さってのは一つじゃねえ」


「・・・・・・?よく分かんねえ」



浩さんが言ってることは、俺には難しかった。



「ははっ、紅雅はまだまだ子供だな!まあでも、そのうち分かるよ」



浩さんはぐしゃぐしゃと俺の頭を撫でた。



「うわっ、ちょ、子供扱いすんじゃねえよっ」


「ばーか、子供は子供扱いされるもんだ」



くそ、いつか絶対仕返ししてやる。



でも、幸せだ。


浩さんが連れ出してくれたこの世界は、毎日楽しくて、おかしくて。


本当に、幸せな毎日を送ってた。



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