月夜に花が咲く頃に
視界の隅に、俺に銃口を向けて笑う男が見えた。




――――パンッ




乾いた銃声の音と、俺の名前を呼ぶ浩さんの声。



気づいたら俺は倒れてて、俺の上には浩さんが被さっていて。







俺の手は、赤黒い血で染まっていた。




「浩さん!」



「浩!」



暁のみんなが駆け寄ってくる。


頭がうまく回らないまま、俺は自分の手についた浩さんの血を呆然と見つめた。



「ひ、ろさん・・・・・・?」



どんどん血の気が引いていく浩さんの顔。



苦しそうに浅い呼吸。



俺の、せいで・・・・・・!




「ひ、浩さんっ、」


「く、うが、無事、か・・・・・・?」


「俺は、何もっ、浩さんがっ」


「ったく、ほんとに、お前は、子供、だ、な」



力なく笑う浩さんは、その手を俺の顔にのばす。


その手を握ると、浩さんは優しい笑みを浮かべた。



「紅雅、次の、頭はお前だ」


「!?待ってくれ、浩さん、やめてくれ、俺はまだ、浩さんについていきてえんだっ、」


「俺は、今日で、いん、たいだ、」


「頼む、浩さん、言わないでくれ、」


「あ、かつきを、任せ、た、ぞ・・・・・・、く、う・・・・・・」




浩さんは、それっきり目を閉じて、動かなくなった。



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