月夜に花が咲く頃に
「なっ、待ってくれ松さん、なんで急に、」



「急じゃねえ。この一ヶ月、幹部全員で話し合って決めたことだ」



周りを見ると、みんな知っていたようで、初めて知ったのは俺だけだった。



「んで、紅雅。これは暁全員で話し合って決めたことなんだがな」



松さんはそう言って、俺の肩に手を置いた。



「お前が、12代目総長だ」




耳を、疑った。



この人は、何を言ってるんだろう。



仲間全員に、迷惑をかけたんだぞ?



取り返しのつかないことをした、最低な人間なのに。



言葉も出ない俺に、松さんは笑って言った。



「言っただろ。全員で決めたことだ。全員がお前が12代目総長になるべきだと認めたんだ」



「な、なんで・・・・・・」



「確かに櫟との抗争の時、お前は作戦を無視して突っ走った。それが原因で陣が崩れたのも事実だ。浩が今こんな状態になっちまってんのも、お前のせいだというやつもいるかもしれない」



「だったら、」



「それも全部含めて、お前が総長になるべきだとみんなが思ったんだ。お前についていくって、みんな言ってんだよ」




敵わないと思った。



俺を救ってくれた、浩さんと、暁。



こんな俺についてきてくれると、信じてくれると言った仲間。



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