月夜に花が咲く頃に
「それに、11代目総長から、直々に暁を任されたんだろ。お前以外に、12代目総長になるべきやつはいねえんだ」



浩さん、俺、まだまだ弱くて、情けないけど。



浩さんの後を継ぐよ。



俺が、暁を守る。守っていく。



いつか、胸張って、強くなったって言えるように。



二度と大事なものを失わないように。



強く、なるんだ。








その半年後、俺たちは櫟に再び挑み、櫟との抗争に勝利した。



櫟は解散し、浩さんを撃ったやつは、姿を消した。



・・・・・・だけど、浩さんは未だに目覚めることなく、眠り続けていた。



俺は、ふと浩さんとの会話を思い出した。



何かある度に出てくるその女の名前と写真。



浩さんが妹みたいなもんだと言っていた、銀髪の女。



浩さんの今の状態を、彼女は知っているんだろうか。



浩さんの病室に女が来たことなんて一度もない。



浩さんにとってその女が妹分みたいなもんだとしたら、その女にとっても浩さんは大事な存在だったはずだ。



「・・・・・・探してみるか」



分かっているのは、“雫”という名前とその容姿。



それと、俺と同じ歳だということ。



俺は、その女を探し始めた。



きっと、俺はその女に真実を話す義務がある。



そうして探しているうちに、俺たちは、ヨルという存在を知った。



銀髪の髪を揺らして、夜の街で悪事を働く奴らを始末する謎の女。



銀髪の、女・・・・・・。



もしかしたら、そいつかもしれない。



賭けだった。



事情を説明したら、暁の奴らは快く協力してくれた。



浩さんのためでも、その女のためでもない。



俺のけじめのために、俺はヨルを探し続けた・・・・・・。




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