月夜に花が咲く頃に
弐
二学期に入って一ヶ月が過ぎ、風が冷たくなってきた。
翼はいつも通り部活に行き、私も帰ろうとした放課後。
「雫ちゃん、ちょっと、いいかな」
楓に呼び止められ、私は足を止める。
実は、ここのところ暁の倉庫にも顔を出していない。
紅雅だけじゃなく、暁の人みんなと距離を取るようになってしまった。
正直、どんな顔をすれば良いか分からない。
だって、紅雅が私を探していて、それをみんなも知ってたってことは、みんなもヒロ兄のこと知ってたってことでしょう?
そりゃ、紅雅が私に言わないことを、みんなが私に言うなんて出来なかったのかもしれない。
みんなは紅雅ほど事情を深く知らなかったのかもしれない。
それでも、私はみんなとどんな顔で何を話せばいいのか分からなくなっていた。
憎んでるわけでもないし、恨んでいるわけでもない。
ただ、自分の気持ちがごちゃごちゃになっている今、暁に行ったら自分がどうなってしまうのかが分からなくて、怖くて。
気づいたら、暁から足が遠のいていた。
「・・・・・・どうしたの?楓」
「雫ちゃん、紅雅に聞いたよ。浩さんのこと、聞いたんだね」
ああ、そうか。
紅雅は暁のみんなに話したのか。
翼はいつも通り部活に行き、私も帰ろうとした放課後。
「雫ちゃん、ちょっと、いいかな」
楓に呼び止められ、私は足を止める。
実は、ここのところ暁の倉庫にも顔を出していない。
紅雅だけじゃなく、暁の人みんなと距離を取るようになってしまった。
正直、どんな顔をすれば良いか分からない。
だって、紅雅が私を探していて、それをみんなも知ってたってことは、みんなもヒロ兄のこと知ってたってことでしょう?
そりゃ、紅雅が私に言わないことを、みんなが私に言うなんて出来なかったのかもしれない。
みんなは紅雅ほど事情を深く知らなかったのかもしれない。
それでも、私はみんなとどんな顔で何を話せばいいのか分からなくなっていた。
憎んでるわけでもないし、恨んでいるわけでもない。
ただ、自分の気持ちがごちゃごちゃになっている今、暁に行ったら自分がどうなってしまうのかが分からなくて、怖くて。
気づいたら、暁から足が遠のいていた。
「・・・・・・どうしたの?楓」
「雫ちゃん、紅雅に聞いたよ。浩さんのこと、聞いたんだね」
ああ、そうか。
紅雅は暁のみんなに話したのか。