月夜に花が咲く頃に
「私は、正直よく分からないよ。私が暁にいる理由も資格も、見当たらない。それに、ヒロ兄のことも・・・・・・。紅雅のせいだなんて、思ってない。思ってないけど・・・・・・。正直、もう自分の気持ちすら今は分からないんだよ・・・・・・」



こんな中途半端で曖昧なまま、何かにすがっていいわけがない。



頼っていいわけがないんだ。



「雫ちゃんは、よく一人でいようとするとき、理由とか資格とか、そういうことを言うけどさ。実際、何かをしたいって思ったり、欲がわいたり、もしくは突飛的に行動を起こしたりするときって、そういうの全部、そっちのけなもんだよ」



「?何言って・・・・・・」



「雫ちゃんだって、光を助けようとしたとき、何も考えなかっただろ?ヨルとして街に出てたときだって、人を助けるとき理論づけて行動してた?」



「そ、れは、だって、そんなこと考えてる暇ないし、」



「でしょ?」



「でもそれとこれとは話が全然違うよ」



「違うなんてこと、ないよ。俺たちが雫ちゃんと一緒にいたいって思ったことに、明確な理由なんてない」



楓は私に近づいて、優しい声で、優しい瞳を私に向けた。



「雫ちゃんと、一緒がいいんだ」




< 185 / 225 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop