月夜に花が咲く頃に
だけど、もし、届くなら。



「ヒロ兄が大事にしてた、守り続けてた人に会えたよ。私も、仲間になりたいって、思える人たちに」



ねえ、ヒロ兄。



ありがとう。暁の人たちに私の話をしてくれて。



ありがとう。紅雅を守ってくれて。



ありがとう。今までずっと、私を守ってくれて。




「もう、大丈夫だよ。私、ヒロ兄に守られなくても、大丈夫なくらい、強くなったよ」




もう、大丈夫。



ヒロ兄が隣にいなくても。



紅雅に、暁に会えたから。



一緒にいたいって思える仲間に会えたから。




これから先、どうなるかなんて分からないけど。



きっと、もう前を向いて歩いて行けるから。




だから、安心して。






「ありがとう、ヒロ兄」










ピーーーー









無機質な機械音が、響いた。




その直前、ちょっとだけだけど、握ったヒロ兄の手が、私の手を握り返してくれたような、そんな気がした。








溢れる涙は、止むことを知らなくて。





頬をつたっては、ヒロ兄の手に落ちて、またつたっていく。










私の大切な人が、また一人、命を落とした。





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