月夜に花が咲く頃に
もし、理由とか資格とか関係なしに、自分の気持ちを優先して良いのなら。



わがままを言っても良いのなら。



「紅雅。私、紅雅と、暁と一緒にいたい」



ヒロ兄が守ってきた人たち。



何より、私が一緒にいたいと思った人たち。



「・・・・・・憎んでねえのか?」



「どうだろう。もしかしたら、憎んでるかも」



「・・・・・・」



「だけど、それよりも、私はあんたたちと一緒にいたいと思った」



自分でも理解が出来ない、気持ちがある。



どうしようもなく、止められないものがある。




紅雅に笑いかけると、紅雅はすごい勢いで私を抱きしめた。



「絶対もう離さねえ。俺がお前を守る」



「ばか。私が紅雅達を守るんだから」




ちぐはぐで、でこぼこで、矛盾だらけ。



理屈じゃ説明できないものがある。







紅雅が私の肩に顔を埋める。



少ししたら肩が濡れるのを感じて、私も紅雅の胸に顔を埋めた。







涙はやっぱり、どうしようもなく止まらなかった。





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