月夜に花が咲く頃に
「な、何がって、そりゃヒロ兄がっ、・・・・・・へ?」



あ、あれ?何の話してたんだっけ?



少し間が開いて、私はようやく自分が脳内タイムトリップしていたことに気づいた。



「ふっ、紅雅、敵は手強そうだね」


「ちっ」



紅雅はまた舌打ちして、眉間にさらに深くしわを寄せた。



敵って、なんのこと?



首をかしげたけど、紅雅も楓も、教えてくれる気はないらしい。



「おい」


「な、何」


「マジでお前覚悟しとけよ」



それどころか、しかめっ面で脅される始末。



何なのよ一体。



光は馬鹿だから分かりやすいけど、紅雅と楓はほんと何考えてるか分かんないときがあるから困るんだよなあ。



紅雅は基本あまりしゃべらないし、楓はにこにこ笑ってる裏になんかありそうで怖いし。



そんなことをぼけっと考えていた私は、これから紅雅がとんでもない行動をし始めるなんて、想像もしていなかった。


“覚悟しとけ”っていう紅雅の言葉が、どういう意味だったのか。


私はもっと、ちゃんと考えるべきだったんだ・・・・・・。


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