月夜に花が咲く頃に
放課後、暁の倉庫に入ってすぐ、私はなぜか紅雅の部屋に拉致られた。



「あ、あの、紅雅さん・・・・・・?この、状況は、何なんでしょう・・・・・・?」


「何って、俺の部屋にいるだけだろ」



いやそうですけども!


そうじゃなくて!


なんで幹部室じゃなくて紅雅の部屋に私が連れてこられたのか聞いてるんだよお!



「なんで倉庫について早々二人きりなのよ・・・・・・」


「何意識してんだアホ」



お昼の話もあって、私はなんとなくドギマギしているというのに。


目の前の男は、いつも通り余裕かまして足を組んでいやがる。



そりゃああんたみたいに顔だけはよくて異性にモテモテで?


これまで数なんて忘れるほどたくさんの女性を手玉に取ってきたであろう男の方には?


異性と二人っきりでドキドキしちゃう・・・・・・!なんて思わないでしょうけどねえ。


いや別に私だってちょーっと緊張してるってだけで別に、いやほんと別にどーっておことないですけど。


ないですけどお!



「・・・・・・何百面相してんだ」



・・・・・・はい、すみません。


嘘です。めっちゃ緊張して心臓ドキドキです。


意識した途端にそりゃあもう冷静でなんていられませんとも。



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