月夜に花が咲く頃に

倉庫についてあっという間に暁のみんなと仲良くなった陽向は、一階で皆と鬼ごっこやらかくれんぼやらして遊んでいる。



私は一階にノリノリで遊ぶ光を残して、紅雅と幹部室へ。



幹部室では楓が待っていた。



「あ、二人とも。陽向くん無事に見つかった?」


「うん。今下で遊んでる」


「そっか。光がいないって事は光も一緒に遊んでるのかな?」



さすが、よく分かってる。



「ところで、陽向くんには浩さんのこと、話したの?」


「うん。電話で、話したよ」



正直、陽向に話すべきかも迷ったけど。


陽向にヒロ兄のことを覚えてるか聞いたら、すごく元気な声で、「当たり前だろ!俺、ヒロ兄のこと大好きだもん!」って言われて。


その後に死んだことを伝えるのは、しんどかったけど。


正直に話すしか、できなかった。


真実を知った陽向は、電話の向こうで泣いていて、そのまま電話は切れたけど。



だからかな。



今陽向がこうして笑っていることに、ほっとしている自分がいる。



「今度の月命日に、一緒にヒロ兄のお墓参りに行こうと思ってるよ」


「そっか。浩さんも、陽向くんが来てくれたらきっと喜ぶね」


「うん。きっと喜ぶ」



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